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  2017年2月:ソウル
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国立中央博物館清洲古印刷博物館教科書博物館

【2月19日(日)】 国立中央博物館

午前10:00、ホテル前からバスで国立中央博物館へ。

参加者は日本から小宮山夫妻、鳥海さん、伊藤さん、日下さん、劉賢国さん、浅妻さん、狩野さん、中国から孫さん、黄さん、さん、劉釗さん、韓国から金環道さん、洪さん、劉玎淑さん、権さん、金希柱さんと自分を入れて総勢18名。

ここへは丁度10年前に鳥海さんと一緒に来たことがあるが建物の印象が違うのは、バスの駐車場がある建物の裏側からアクセスしたせいだろう。

バス駐車場から博物館に入る。

博物館入り口までの途中にハングルの縦組みによる「ブルックリン博物館エジプト財宝展」のポスターがあったが、綺麗なハングルだ。

「ブルックリン博物館エジプト財宝展」のポスター。

広い中央階段の横に設置された大型モニターに見たことがある一団が写っている。

アスペクトレシオが合ってな~い。右端階段の上は鳥海さん。

上の写真を修正すると……。

博物館中央のコンコース。

こちら正門からのアプローチ。10年前はこちら側から入館した。

コンコースの右側が博物館。

コンコースの突き当りが階段。

博物館への入り口。入館は無料。

入り口を入るとそこは高い天井のロビーで、10年前の記憶は全くない。

館内見学は興味の対象の違いから韓・中と日の二グループに分かれて回る。日グループには日本語の上手なガイドがついてくれた。

文字関連の展示を見るのが目的だが、その途中で気になった展示をいくつか紹介する。

スッキリとした鎧を着こんで刀を手にする兵士は加耶国の兵士像。
像の傍に掲げられた説明によると『加耶は紀元42年、首露王によって金海地域に建国された国。金海地域の豊富な鉄の産出量を背景に強力な勢力を形成した。』とある。
加耶国、知らなかった。

加耶国の兵士像。

博物館中央通路に展示されている塔は英語の説明プレートに "Ten-Story Pagoda" とあるから「十話塔」とでもいうのだろう。塔の周囲に十の物語が彫られているのかもしれない。

日本語の説明は『この塔は、高麗中穆王4年(1348)に建てられたものである。三段からなる塔の下段部には獅子や羅漢、そして西遊記の場面などが彫られている。塔身部には木造建築によく見られる柱や欄干、屋根が刻まれており、各面には数多い仏と菩薩との法会の場面などが刻まれている。』とあるのみ。

Ten-Story Pagoda 。

一段目の彫刻は菩薩像か?

もう一つ、中央通路に亀の背中に乗った石碑が展示してある。

説明版に『この碑は新羅末期の高僧円朗禅師(816 ー 883年)の生涯にわたる修行を中心に記録している。亀の上に据えられた碑の上部には龍が彫られている。この碑の様式は統一新羅と高麗時代に盛んだった。』とあった。

亀の背に乗った石碑はハノイの文廟・国子監にたくさん並んでいたが、あれは往時のベトナムで実施されていた科挙の合格者リストだった。

高僧円朗禅師の修行の記録碑。

博物館内のいたるところで、そこを俄か教室にして課外授業をしている子供たちを見かけた。

教師(だと思う)に引率された子供たち。

展示棚の上に無造作に置かれた縦50センチ・メートルほどの大きな綴じ本は、清渓川の壁に描かれた王族の行列の規範のようだ。この綴じ本はレプリカなのか自由に繰って見ることができる。

王族行列の規範。

広い館内をうろついてやっと辿り着いた活字の展示コーナー。

最初に目についたのが活字の収納ケース(1858年)。

活字収納ケース。

活字収納ケースと一緒に展示されている木の板に『乾隆乙卯十一月始鋳至丙辰三月畢役大小字都合凢三十萬餘蔵……』と読める。『丁巳十月十五日出火……』ともあるので火事に会っているようだ。

右の板に『乾隆乙卯十一月始鋳至丙辰三月畢……』と読める。

乾隆帝の時代を調べると丙辰(1736年)から乙卯(1795年)で、この板の記述は始まりと終わりの年代が逆になっている。読み違えているか? それに、何故中国の年代の「乾隆」を使っているのか?

ケースから出した抽斗も展示してある。
抽斗の傍に英文の説明が掛かっていたので引用するが、「乾隆」の疑問には答えていない(和訳は当サイトの適当訳)。

In the Joseon Dynasty, the government's sets of movable types were categorized and stored in chests, which were overseen by appointed officials.
An inventory system was created to document the number of movable types in each chest. In most cases, Chinese characters are arranged according to their respective radicals.
But in this inventory system, the characters were arranged by shape, rather than by the number of strokes, which reduced the number of radicals.
In addition, the most commonly used characters were stored in deep partitioned drawers, while the less commonly used ones were stored in shallow drawers with no partition.

李朝時代、政府が指定した職員によって管理された保管庫に、政府指定の活字セットが分類されて保管されていた。
保管庫は各引出しに収められた活字の数を記録するために作成された。ほとんどの場合、漢字はその偏や旁を基準に整理される。
しかし、この保管庫は、偏や旁の数を減らした字形(画数ではなく)によって整理されている。
さらに、使用頻度の高い文字は仕切りのある深い引き出しに格納され、頻度の低い活字は、仕切りのない浅い引き出しに格納されていた。

使用頻度の高い活字が納まる仕切りのある抽斗。

上の抽斗の部分を拡大。

これは使用頻度が低い活字が納まる抽斗。

上の抽斗の部分を拡大。

こちらは『壬辰字 甲寅字 朝鮮王朝五百年 世宋大王性理學……』と組んだ活字で、その説明はハングルと英文のみ。英文は "Imjinja Type, Movable Type Recast Based On Gabinja Type." と書いている。李朝 1772年に鋳造された「壬辰字」と呼ばれている活字。

壬辰字は、1434(世宗16年)年、王命によって作られた形はほぼ正方形で、韓国金属活字の中でも特に美しいといわれている活字、甲寅字を元に作られたと伝わっている。

Imjinja Type(壬辰字)。

「壬辰字」のハングル活字。

ハングルの活字。

刷り本と活版の対比ができる展示もいくつか並んでいる。説明の英文は博物館に掲示されていたもの。

◆ 羹墻録
丁酉字で印刷された歴代王の教訓。李朝 1786年。
Lessons of the Preceding Kings; Printed with Jeongyuja Type
Joseon Ddynasty, 1786; Movable type printing on paper

羹墻録。

上の「羹墻録」を再現した活字組版。
Reorganization of the Typesetting for Lessons of the Preceding Kings

この組版の左半分が上の刷り本の左ページになる。

「羹墻録」の活字組版。

◆ 華城城役儀軌(下の写真左)
整理字で印刷された水原華城(李朝鮮時代の城塞)の建設国家記録。李朝 1801年。
State Records of the Construction of Hwaseong Fortress;
Printed with Jeongnija Type
Joseon Dynasty, 1801; Movable type printing on paper

「華城城役儀軌」を再現した組版(下の写真右)
Reorganization of the Typesetting for State Records of the Constructin of Hwaseong Fortress

「華城城役儀軌」の刷り本と組版。

◆ 五倫行實圖
図解 五倫。李朝19世紀。1797年の原本の木版による再版。
Illustrated Book Of Conduct For Five Relationship
Joseon Dynasty, 19th Century
Reprinted of an original Made in 1797 Woodblock Printing On Paper

五倫行實圖。

◆ 御製綸音
正祖王詔。李朝1797年。
King Jeongjo's Message; Joseon Dynasty, 1797; Movable Type Printing On Paper

御製綸音。

そろそろランチタイム、再び韓中日の面々が博物館一階のレストランに集合。

見学疲れと空腹の皆さん。

ゆっくりとランチを楽しみ、午後2時頃にバスで次の目的地「清州コイン差圧博物館」に向けて出発。


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