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  2006年10月: Ka8Bのレストア
9月2日9月9日9月13日9月30日10月9日10月15日

【10月9日】計測

機体が組み立てられ天秤計りを使っての計測作業が行われたが、出張と重なり撮影に行くことができなかった。
幸い作業の様子を撮影していたSAF飛行クラブの関口典子さんから写真を拝借することができ、貴重な計測作業の様子をまとめることができた。コメントは久野浩樹さんに監修していただいた。関口典子さん、久野浩樹さんありがとうございました。

関宿滑空場、朝10時半。新格納庫内で耐空検査に向けて最後の大仕事が始まった。
参集した学生は冨永くん、水島くん。佐藤さん監督の下、関口さんご夫妻と友人の援軍も加わって、寸度(歪みはないか)、舵角(舵は正常範囲作動するか)、重量重心(安定して飛べそうか)などの最後の計測作業が行われた。

計量・計測に向けて機体に主翼を組み付ける。

水平尾翼の組み付けには一寸したコツが必要だ。

機体の重量バランスを計測するためには主車輪と尾橇の下に天秤計りを入れて測定する。機体が不安定になるので常に主翼端を保持していなければならない。関口さんが終始支持していた。

主車輪の下に天秤計りを入れる。

いつも穏やかな表情の久野さんが普段見せたことのない厳しい表情で機体に載せた水準器で水平姿勢を確認する。佐藤さんが尾橇の下にかった木材を入れ替えながら高さを調整する。

尾橇の下に天秤計りを入れて測定の準備。

計測の準備をすすめる冨永、水島の両くん。

機体の水平姿勢時の正確な寸法を出すために三角錐の分銅を糸の先につけた『下げ振り』を利用する。『下げ振り』がわずかな風でも揺れてしまうので機体の水平位置を出す作業は根気よく行なう必要がある。

『下げ降り』で機体の水平位置を確認する久野さんと冨永くん。

いよいよ準備なって尾部の重量を測定。天秤計りなので分銅がユラユラ揺れてしまい、正確な数値を読み取るのも難しく時間がかかる。

尾部の重量測定をする佐藤さんと作業を見守る関口さん。

ここまでは主車輪と尾橇に天秤計りを入れて測定する一般的な方法だが、この方法でコックピットに人が乗った時のバランスを測定しようとすると、主橇と主車輪が接地し尾橇が浮いてしまって測定することができない。

機体の計測方法にはアレキサンダー・シュライハー(Alexander Schleicher)社が採用しているもう一つの方法がある。機首フックと尾橇で測定する方法だ。これは機首フックの下に油圧ジャッキを入れて行なう方法で、この方法だと水平姿勢を簡単に調整することができる。今回の計測は 学生の整備実習も兼ねているので2つの方法を実施した。

機首フックの下に油圧ジャッキを入れての計測。

佐藤さん指導の元、天秤計りのメモリを読み取る学生達。

計測が無事完了し、機体の仕上がりに問題無いことが確認できたのは午後5時を過ぎていた。
Ka8Bが自由に大空に舞い上がるまでに残された関門は10月15日に予定された耐空検査のみとなった。