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  2011年5月:瀋陽
5月3日5月4日地図
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【5月4日(水)】瀋陽故宮 中路(内廷)

瀋陽故宮は東から大きく東路・中路・西路の三つの部分に分かれている。 東路は努爾哈赤(ヌルハチ)によって建てられた瀋陽故宮の中で最も古い建物群、中路は皇太極(ホンタイジ)によって建てられたもの、西路は乾隆帝によって建てられたものである。

瀋陽故宮全体の配置は「故宮全景」を参考にしてください。

大清門を出ると正面に中路の正殿「崇政殿」がある。清の太宗天聡年間 (1627 - 1635年) に築造されたもので、皇太極の執務室だった所だ。

崇政殿。

崇政殿の扁額。

扁額の手前、軒桁にかけられたのは雲と龍の玉か?

軒桁の斗栱(ときょう)や木鼻の様式に遠く日本の寺院建築に繋がっている様子が見て取れる。木鼻の龍の右手にあるのは玉ではないか。斗栱にはチベット仏教の影響が見られる獣面彫刻を見ることが出来る。

獣面を付けた斗栱と龍の木鼻。

左右に龍が絡みつく崇政殿の玉座。

玉座の上には「正大光明」の扁額が架かっている。
北京の紫禁城・乾清宮の玉座の上にも同じ「正大光明」の額が架かっている。乾清宮の扁額裏には次期皇帝の名前が書かれて封印された勅書が隠し置かれたことで有名だが、崇政殿の扁額にはそのような話は伝わっていないようだ(「正大光明」の扁額を撮り忘れたのでインターネットから失敬して転載した)。

玉座の上に架かる「正大光明」の扁額。

崇政殿に向かって左側には「嘉量」と呼ばれる石灯籠のような形をした当時の枡(容積)の原器が建っている。乾隆10(1745)年 に建てられたもの。

嘉量。

崇政殿に向かって右側には日時計「日晷」が建っている。これも「乾隆」10(1745)年に時間の標準として建てられたもの。容積と時間の標準を定めることは国家権力の象徴として当時も重要なことだった。

日晷。

崇政殿の前で満州族の貸衣装を着た中国人観光客からシャッターを押して欲しいと頼まれた。流暢な英語だったので不思議に思って聞くと米国から来たのだと言う。

崇政殿の前で貸衣裳での記念撮影。

崇政殿と左翼門(右)。

左翼門から崇政殿の背後に回ると瀋陽故宮の中で最も高い三層からなる建物「鳳凰楼」に目を奪われる。三層目から皇帝が酒を飲みながら月を見たという話が伝わっているようだ。

鳳凰楼。

鳳凰楼に掛かる扁額には乾隆帝の手になる「高貴な気は東からやって来る」と言う意味の「紫気東来」という扁額が掲げられている。

鳳凰楼に掛かる「紫気東来」の扁額。

鳳凰楼の階段上から崇政殿の背後を撮る。

鳳凰楼の階段を上って清寧宮の前に出る。清寧宮は皇太極とその妻・孝端文(博爾濟吉徳/Bo'erjijite/ボルチジ)の居室だった所。清寧宮前の左右には側室達の寝室だった関雎宮、麟趾宮、衍慶宮、永福宮が並んでいる。
この内廷は皇帝とその家族達の生活空間になっていた所だ。

清寧宮。

清寧宮の内部を見ると、西側部分の北・西・南の壁際にコの字型にオンドル(万字炕ともいうらしい)が備えられており、満洲族の伝統が色濃く反映されているのが分かる。
西側の壁には神龕(しんかん/神棚や仏壇のようなもの)と神像(関帝像)が祭られている。満洲族は西側を上座とするため、神龕や神像は西側の壁に祭られている。
この部屋は満州族の伝統的なシャーマニズムの祭祀が行われた場所でもある。

清寧宮の内部。様々な祭祀がここで行われた。

清寧宮に掛かっていた皇太極像。

シャーマニズムの祭祀はシャーマンが神歌を歌いながら踊って天の神や関帝を称え、続いて生け贄(豚)を殺して竈で煮る。煮えた肉はまず神龕に供え、皇帝、家臣がともに肉を分け合って食べ一族としての絆を確かめ且つ強めた。

内廷。左が麟趾宮、右が清寧宮。

屋内の儀式が終わると、生け贄の豚肉に米などを混ぜて清寧宮正面にある「神杆」の上に括り付けられている円斗(碗)に入れる。皇室の祖霊とされているカササギに捧げるためだ。

関雎宮と神竿。索倫竿ともいわれている。

清寧宮の裏手に回ると煉瓦を積み上げた煙突がある。
この煙突が、清朝が十二代で終わることを予言していたという伝説があるらしい。らしいというのは正確な情報源が見つからなかったから。煙突を好く見ると煉瓦が段を作って積み上げられている。この段が十二段あることが伝説の元になったようだ。

清寧宮の煙突。

関雎宮は皇太極の寵妃、宸妃(海蘭珠)の住居。
宸妃は26歳で皇太極に嫁ぎ皇太極の寵愛を得て男子をもうけたが僅か半年余りで病死してしまう。宸妃も33歳で病死する。後に皇太極とともに清昭稜に合葬される。

関雎宮内には満洲族伝統のゆりかごが展示されいる。

関雎宮内。宸妃の寝台。

関雎宮に掛かっていた宸妃(海蘭珠)の像。

内廷には「清寧宮」と「関雎宮」の他に貴妃の住居「麟趾宮」、淑妃の住居「衍慶宮」、順治帝の生母、荘妃(孝荘文皇后)の住居「永福宮」が並んで建っている。

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